■喫煙率の減少傾向は世界各国で異なる

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2015年の喫煙による死亡者は640万人と推計

 タバコ規制の強化は、喫煙者の減少に結びついた。しかし世界的には、喫煙は未だに、早すぎる死亡と障害の主な原因の1つだ。米Washington大学Seattle校のEmmanuela Gakidou氏らは、世界各国の喫煙の現状と経時的な変化を調べて、Lancet誌電子版に2017年4月5日に報告した。

 タバコ規制の拡大、特に、2003年のWHOの「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」採択後の広まりは、公衆衛生上、大きな成功を修めたといえる。タバコ製品に課税し、タバコ製品の販売を規制し、タバコ製品の外装に警告を表示し、公共の場の喫煙を禁止、喫煙禁止区域を設定するといった努力が功を奏したわけでが、現状を見ると、今後も政治的な関与が必要であることは明らかだと著者らは考えている。

 著者らは、Global Burden of Disease, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)2015 Tobacco Collaboratorsのメンバーで、今回は、喫煙率、死亡と障害調整生命年(DALYs)に対する喫煙の寄与危険度を、世界の195の国と地域において、年齢、性別ごとに調べた。さらに、喫煙率と疾病負荷を各国の発展度(1人当たりの所得、教育レベル、合計特殊出生率のサマリー指標であるSocio-Demographic Index;SDIを用いて示した)に照らして評価した。

 まず、1990年から2015年までの毎日喫煙率を性別、年齢、年度別に推定した。世界的には、年齢で標準化した2015年の毎日喫煙者の割合は、男性が25.0%(95%不確定性区間24.2-25.7%)、女性は5.4%(5.1-5.7%)だった。1990年と比較すると、それぞれ28.4%(25.8-31.1%)と34.4%(29.4-38.6%)減少していた。

 毎日喫煙率は、男性では51の国と地域が世界平均よりも有意に高い喫煙率を示しており、地域的には中央や東欧、東南アジアに多かった。女性では70の国と地域が世界平均よりも?かに高い喫煙率を示し、地域的には西欧や中欧に多かった。男性では、SDIが中等度の国(中SDI国)の喫煙率が最も高く、女性では高SDI国で最も高かった。一方で、低SDI国の喫煙率は多くの場合、男女ともに低かった

 1年当たりの喫煙率の低下を算出したところ、2005~2015年の期間より1990~2005年のほうが、低下幅が大きかった国と地域が多かった。一方、2005年から2015年までに1年当たりの喫煙率の増加が有意になった国もあった。男性ではコンゴ(ブラザヴィル)とアゼルバイジャン、女性は、クウェートと東チモールの計4カ国だった。

 2015年の世界の毎日喫煙者は9億3310万人(95%不確定性区間8億3130万人-10億5430万人)で、82.3%は男性だった。喫煙者数の多い上位10カ国(中国、インド、インドネシア、米国、ロシア、バングラデシュ、日本、ブラジル、ドイツ、フィリピンの順番で、日本は7位)をあわせると世界の毎日喫煙者の63.6%になった。さらに、上位3カ国(中国、インド、インドネシア)の男性喫煙者が、世界の男性喫煙者の51.4%を占めていた。一方で、女性喫煙者数のトップ3である米国、中国、インドの女性喫煙者を合わせても、世界の女性喫煙者の27.3%にとどまった。10カ国の中で、1990年から2015年までの喫煙者減少率が最も大きかったのはブラジルで、男性は56.5%、女性は55.8%減少していた。

 喫煙開始傾向を調べるために、15~19歳の毎日喫煙率の変化を調べた。男性では、1990年の16.1%(14.4-18.0%)が、2015年には10.6%(9.3-12.1%)に、女性では4.8%(4.3-5.6%)から3.0%(2.6-3.7%)に減少していた。このように、世界的には減少していたが、2015年には22カ国で、この年代の女性の喫煙率が15.0%を超えており、24カ国で男性の喫煙率が20.0%を超えていた。

 なお、喫煙者数世界7位の日本では、2015年の女性の毎日喫煙者は490万人、男性は1530万人で、1990~2015年の間に、女性の年齢標準化喫煙率は16.0%減少、男性では44.8%減少していた。さらに15~19歳の女性の毎日喫煙率は15.1%減少し、その年代の男性では62.0%減少していた。トップ10の他の国に比べ日本は、15~19歳の喫煙者が少なく、この世代に限定した喫煙者数ランキングでは第16位になった。

 2015年には、世界の死亡の11.5%(640万人、570万-700万人)が喫煙によると推定された。それらのうちの52.2%は、4カ国(中国、インド、米国、ロシア)で発生していた。喫煙による死亡は、2005年に比べ2015年には4.7%(1.2-8.5)増加していた。死亡の75%超が男性だった。また、喫煙は、2005年2015年の両方で、男性と女性の死亡に寄与する危険因子の第2位だった(1位は収縮期高血圧)。

 喫煙のDALYsへの寄与は2005年から2015年にかけて上昇しており、2015年には全世界で1億4860万年(1億3420万-1億6310万)になった。DALYsへの影響の大きさに基づいて危険因子を順位付けすると、2015年には日本も含む109の国と地域で喫煙がベスト5に入っていた。2005~15年に、年齢標準化した喫煙寄与死亡率が有意に上昇していたのはエジプト(11.4%増加)だけで、82カ国では死亡率が有意に減少していた。

 地域、性別、国の発展度により喫煙率減少の進行状況は異なっており、近年の低下率は以前より緩やかになっていた。低~中SDI国では、人口の増加や高齢化が喫煙関連の疾病負荷を高めており、今後も、適切かつ包括的な政策を効率良く実施することが必要で、これまで以上の政治的な関与が欠かせないと著者らは結論している。

 原題は「Smoking prevalence and attributable disease burden in 195 countries and territories, 1990-2015: a systematic analysis from the Global Burden of Disease Study 2015」、概要はLancet誌のウェブサイトで閲覧できる。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)30819-X/fulltext

資料 TMSジャパン
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