■グルテンは冠動脈疾患リスクに影響しない

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セリアック病でない人にはグルテン制限食は推奨されない

 大規模コホート研究のデータを用いて、グルテンの摂取量と冠動脈疾患発症の関係を調べた米Columbia大学のBenjamin Lebwohl氏らは、長期のグルテンの摂取は冠動脈疾患のリスクと関連はなく、セリアック病でない人にはグルテンフリーダイエットは推奨されないと報告した。結果はBMJ誌電子版に2017年5月2日に掲載された。

 自己免疫疾患であるセリアック病の患者は、グルテンを摂取すると消化管の炎症を起こし小腸に損傷が生じる。セリアック病の診断基準は満たさないが、グルテン摂取により小腸その他に症状が起こる患者は、グルテン感受性と見なされているが、その生物学的な機序は明らかではない。

 セリアック病患者には冠動脈疾患リスクの上昇が見られるが、グルテンフリーダイエットを継続すればリスクは下がる。また、グルテンが、セリアック病ではない健康な人にも炎症を誘導する可能性が示されて以来、医療従事者と一般国民の間で、グルテンが、肥満、メタボリックシンドローム、神経精神症状、心血管疾患のリスクを上昇させるのではないかという懸念が広がり、グルテン摂取を減らす食事法が流行するようになった。米国で行われた調査の結果は、近年、セリアック病ではないのにこうした食事法を実践している人の割合が増加していることを示した。

 グルテンの摂取を制限すると、健康維持に必要な一部の栄養素が不足する可能性がある。すでにセリアック病では無い人々の間でグルテンフリーダイエットが流行しているにもかかわらず、グルテンの摂取と慢性疾患、たとえば冠動脈疾患などとの関係について調べる長期的な前向き研究は行われていなかった。そこで著者らは、食生活についても詳しい調査を行っていたコホート研究のグルテン摂取量に着目した。

 米国で行われたNurses' Health Studyに参加した看護師の女性と、Health Professionals Follow-up Studyに参加した男性医療従事者のうち、1986年に半定量的な食物摂取頻度調査に回答しており、その後4年ごとに2010年まで同じ調査を繰り返し受けていた人を対象とした。日常的なカロリー摂取量が極端な人(女性は600kcal未満と3500kcal超、男性は800kcal未満と4200kcal超)、グルテンの記録がない人、心筋梗塞・脳卒中・冠動脈バイパス手術・癌の既往歴がある人は除外した。セリアック病のある人も除外した。その結果女性6万4714人と男性4万5303人を分析対象にした。

 食品摂取頻度調査に対する回答に基づいて、小麦、ライ麦、大麦に含まれるグルテンの摂取量を推定した。調味料に含まれる極微量のグルテンは無視できるものとした。どちらのコホートでも、主要なグルテンの供給源は、パン(全粒粉)、パスタ、シリアル、パン(精白粉)、ピザだった。主要評価項目は、冠動脈疾患(致死的または非致死的心筋梗塞)の発症に設定した。

 グルテンの摂取量に基づいてコホート参加者を5分位群に分けた。ベースラインの1日当たりのグルテン摂取量の平均は、最高5分位群の女性が7.5g、男性が10.0g、最低5分位群の女性が2.6g、男性は3.3gだった。2010年には、最高5分位群の女性が7.9g、男性は9.2g、最低5分位群では3.1gと3.7gだった。グルテンの摂取は、飲酒量、喫煙習慣、総脂肪摂取量、赤身肉摂取量と逆相関し、全粒穀物摂取量、精製穀物摂取量と正の相関を示した。また塩分摂取との間には有意な関係は見られなかった。

 26年間(227万3931人・年)の追跡で、2431人の女性と4098人の男性が冠動脈疾患を発症していた。内訳は、致死的な心筋梗塞が2286人(540人の女性と1746人の男性)、非致死的心筋梗塞が4243人(1891人の女性と2352人の男性)だった。

 最低5分位群の冠動脈疾患発症率は10万人・年当たり352人、最高5分位群では277人だった。未調整の率差は10万人・年当たり75人(95%信頼区間51-98人)で、グルテン摂取量が多い方が冠動脈疾患のリスクが少ない傾向を示した。しかし、BMI、飲酒、喫煙、高血圧糖尿病、脂質異常症、服用薬などの危険因子を補正したところ、最低5分位群と比較した最高5分位群の冠動脈疾患発症のハザード比は0.95(0.88-1.02)になった。男女別に分析しても、致死的心筋梗塞と非致死的心筋梗塞を分けて分析しても、有意差は見られなかった。

 グルテンの主な摂取源は、全粒穀物と精製穀物だ。精製穀物の摂取量を補正因子に加えると、グルテン摂取量の違いは全粒粉の摂取量の違いとみなすことができる。この場合の最高5分位群の調整ハザード比は0.85(0.77-0.93)になり、全粒粉の摂取量が多いと冠動脈疾患のリスクが有意に低下することが示唆された。

 これらの結果から著者らは、グルテン摂取量と冠動脈疾患のリスクに関連は見られず、グルテンフリーダイエットを実施すると、全粒粉の摂取量が減るために逆にリスクが増大する可能性もあるため、セリアック病でない人にはグルテンフリーダイエットは推奨されないと結論している。

 原題は「Long term gluten consumption in adults without celiac disease and risk of coronary heart disease: prospective cohort study」、概要はBMJ誌のウェブサイトで閲覧できる。
http://www.bmj.com/content/357/bmj.j1892

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