■患者が急性虫垂炎の治療法を選ぶ理由を調査 初期治療失敗率と再発率が決め手か?

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 米North Dakota大学のAlexis L. Hanson氏らは、もし急性単純性虫垂炎になったら、腹腔鏡手術、開腹手術、抗菌薬治療のいずれを希望するか、ウェブサイトによるインターネット経由の調査を行い、治療法選択の理由も調べた。その結果、腹腔鏡手術を選ぶ人が最も多く抗菌薬治療を選択する人はわずかであること、治療の失敗や再発の可能性が低ければ、人々は抗菌薬治療を考慮することが示唆された。結果は、JAMA Surgery誌電子版に2018年1月10日に掲載された。

 急性の単純性虫垂炎患者に対して、抗菌薬治療が外科的な治療の代替になるかどうかを検討した研究は複数行われているが、それらの中に患者の価値観を考慮したものはほとんどない。そこで著者らは、虫垂炎の患者が治療選択時に患者がどのような点を重視するのかを評価するため、また抗菌薬治療への関心が高い患者の特性を同定するために、匿名のオンライン調査を行った。この調査で抗菌薬を選択した人の割合は少なかったため、次に著者らは、面接調査による感度分析を行い、抗菌薬治療の選択にかかわる要因を探した。

 ウェブ調査は、ソーシャルメディアなどを用いて参加者を募集し、2016年4月17日から2016年6月16日まで実施した。急性虫垂炎に対して、腹腔鏡手術、開腹手術、抗菌薬治療を選択した場合の起こり得る結果と、最新の統計と文献に基づいたリスクに関する推定値を詳しく説明して、自分が虫垂炎になったらどの治療を選ぶか回答してもらった。また選択の理由について、素早い治療、?痛、手術回避、再発回避、合併症回避、の5つの要因について、それぞれどのくらい重視したか1~5までの数字で答えてもらった。どれも同じくらい重視したという回答も可能とした。もしも自分の子どもが急性虫垂炎になった場合も想定して、同様に回答してもらった。

 参加者には、年代、ジェンダー、学歴、民族系、職業、子供の有無、手術経験、入院経験、現病歴も回答してもらった。また健康リスク行動(違法薬物使用、大量飲酒、配偶者以外との無防備の性行為、ヘルメットなしのバイク運転、シートベルト不使用、日焼け止めなしの日光浴、治安の悪い地域での夜間単独歩行、高コレステロール食品の日常的摂取)をどのくらい避けているかも答えてもらった。

 ウェブ調査には2153人が参加してくれたが、最後まで回答してくれたのは1728人だった。そのうち1225人(70.9%)は女性、500人(28.9%)が男性で、3人(0.2%)は性別の記載がなかった。年代で最も多かったのが50~59歳(22.6%)で、90.5%はヒスパニック系ではない白人だった。なお、回答者のうちの205人(11.9%)は外科医だった。回答者の65.0%は米国中西部の州からのアクセスだったが、米国の48週と19カ国の参加者がいた。

 回答者のうち1482人(85.8%)は腹腔鏡手術、84人(4.9%)は開腹手術、162人(9.4%)は抗菌薬治療を選択した。抗菌薬を選んだ162人が最も重視していたのは「手術の回避」(スコア4.36)で、以下「合併症の回避」(4.25)、「素早い治療」(3.67)、「再発の回避」(3.52)、「?痛」(3.35)と続いたが、「手術の回避」以外の項目は外科的治療を選択した人々よりもスコアが低かった。逆に、腹腔鏡手術や開腹手術を選択した人々が最も重視していたのは「素早い治療」で、「再発回避」、「合併症回避」が続いた。
 多変量解析で3つの治療の選択傾向を調べると、高学歴(カレッジ卒以上)の人はそうでない人に比べ、抗菌薬を選択する割合が高く(12.6%)、手術を選ぶ割合が低かった。また、職業が外科医だった人はそれ以外の職業の人に比べ、抗菌薬を選ぶ割合が低く(5.4%)、開腹手術を選ぶ割合が高かった(8.3%)。

 次に、自分の子どもが治療を受けると仮定すると、1372人(79.4%)が腹腔鏡手術、106人(6.1%)が開腹術、250人(14.5%)が抗菌薬のみを選択した。子どもに対して抗菌薬治療を選択する可能性が高かったのは、学歴がカレッジ卒以上(16.4%)、周囲に虫垂炎患者がいない人(17.4%)などだった。年代が30~59歳の人は、60~79歳の人に比べ、子供のために抗菌薬治療を選択する割合が高かった(15.6%と12.5%)。どのサブグループも、子供のために抗菌薬を選んだ回答者は19%未満だった。

 面接による感度分析の対象になった220人のうち、120人(54.5%)が女性で、100人(45.5%)が男性であり、主に大学周辺で参加者を募集したため、年齢は18~24歳(53人、24.1%)が最も多かった。初期の選択で手術を選んだ面接者には、どんな条件が変わったら、抗菌薬治療への変更を検討するかを質問して探っていった。

 最初の意思決定では220人のうち、191人(86.8%)が腹腔鏡手術、12人(5.5%)が開腹術、17人(7.7%)が抗菌薬治療を選択した。治療法を選んだ主な理由として最も多くの人が上げたのは、入院期間(102人、46.4%)で、以下は迅速な治療(77人、35.0%)、再発(77人、35.0%)、治療の侵襲性(75人、34.1%)、短期と長期の合併症(65人、29.6%)などが続き、?痛(12人、5.5%)は最も優先順位が低かった。

 最初に手術を選んだ回答者で、どんな条件が変わったら外科的治療から抗菌薬治療への切り替えを考えるかでは、予想に反して本人が挙げた治療選択の理由と必ずしも一致しなかった。「入院期間」を考えて治療を選んだと答えた132人中、治療が外来でできると仮定しても70人(53.0%)は、選択を変更しなかった。また、「合併症のリスク」が重要だと答えた103人中69人(67.0%)は合併症発生率が手術でも抗菌薬でも同じと仮定しても、選択を変更しなかった。

 一方「短期間(30日以内)の治療失敗」を重視すると答えた177人のうち、失敗率が0%でも選択を変更しない回答者は51人(28.8%)で、「長期的な再発率」を重視すると答えた156人のうち、その後の長期的再発率が0%でも選択を変更しない回答者は52人(33.3%)だった。

 これらの結果から著者らは、合併症のない急性虫垂炎患者の大半は外科的治療を選択するが、中には抗菌薬治療で管理できるのに先入観から手術を選んでいる例が含まれている可能性がある。今後は治療失敗率と再発率を減らしながら、抗菌薬治療可能例を見極めて患者に説明する努力を試みるべきだと結論している。

 原題は「Patient Preferences for Surgery or Antibiotics for the Treatment of Acute Appendicitis」、概要はJAMA Surgery誌のウェブサイトで閲覧できる。
https://jamanetwork.com/journals/jamasurgery/article-abstract/2668469?redirect=true

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